葬儀の段取り
1.臨終
医師に臨終を告げられたら、故人が彼岸に旅立つための準備を始めます。故人のまぶたをふせ、胸の位置で合掌を組み、血縁の近い順から死に水を取ります。遺体を清める湯灌(ゆかん)は、病院では看護師が、ご自宅ならご家族が行いますが、葬儀社に依頼することもできます。
※病院から葬儀社を紹介されることもありますが、搬送だけをお願いして、葬儀は見積書をとってから検討することもできます。
喪主の仕事
- 死に水を取る。
- 湯灌(ご遺体を清める)。
- 医師から死亡診断書を受け取る。
2.遺族の打ち合わせ
まず、先祖代々お世話になっているお寺があれば、連絡して枕経(まくらぎょう)をお願いします。枕飾りに必要なものを聞いて、準備しておきましょう。その後、複数の葬儀社から見積りを取って比較検討します。どこまでが料金に含まれるのか、項目ごとに確認することも大切です。また、火葬場など必要な先に連絡をして、日程などの詳細を決定します。
喪主の仕事
- 喪主を正式に決定し、会計などの世話役も決めます。
- 先祖代々お世話になっているお寺に連絡。
- 枕飾りに必要なものの準備。
(水・線香・枕団子・枕飯など) - 葬儀社に見積り依頼、比較検討。
- 遺影にするための写真を探す。
- さしあたり必要な現金の準備。
3.遺体の安置
弔問者が対面しやすい場所に、遺体を安置します。遺族は、まだ喪服に着替える必要はありません。神棚があれば、半紙を貼っておきましょう。遺体の安置方法は、宗派や地域によって異なることが多いので、詳しくは住職や葬儀社にご確認ください。住職が到着したら、枕経をあげてもらい、葬儀内容や戒名について相談します。
喪主の仕事
- 遺体を安置し、枕飾りをする。
- 枕経をあげてもらう。
- 葬儀、戒名の相談。
4.葬儀案内
喪主から葬儀案内の連絡をするのは、特に親しい人だけでかまいません。あとは、世話役にお任せしましょう。連絡内容は、故人の名前、死亡日時、通夜、葬儀・告別式の日時と場所、形式などです。また、香典や供物を辞退する場合は、この時点でお断りしておきましょう。その際「大変恐れ入りますが、故人の遺志でご香典はご辞退させていただきます。」と、感謝の念を表すことが大切です。
喪主の仕事
- 親しい人に直接連絡した後、世話役に連絡の指示を出す。
【葬儀案内 例文】
(※続柄)○○はかねて病気療養中でしたが、○月○日 ○歳にて死去いたしました。ここに生前のご交際を深く感謝し、謹んでお知らせいたします。
通夜および葬儀告別式は仏式で○記の通り執り行います。
- 通夜
- ○月○日(○)午後○時?○時
- 葬儀告別式
- ○月○日(○)午後○時?○時
- 場所
- ○○葬祭場 ○○県○○市○○○○○○○○○○
電話 ○○○○○○○○○○
平成○○年○月○日
○○県○○市○○○○○○○○○○
喪主 ○○○○○
5.納棺
かつては遺族や地域の近親者の手で行なわれていましたが、昨今では納棺師によって行なわれることがほとんどです。納棺の方法や死装束は、宗教によって異なります。棺には愛用の品を入れますが、火葬場によっては眼鏡や入れ歯、結婚指輪など、入れてはいけない物もあるので注意しましょう。
喪主の仕事
- 棺に納める愛用品を用意する。
- 故人を棺に納める。
6.通夜
葬儀社とともに会葬礼状や返礼品、通夜振る舞いの打ち合わせを行ない、弔問客への挨拶文を準備します。出迎えなど、通夜の実務は世話役に任せることになります。喪主と遺族は、通夜の15分前までには喪服に着替えて会場で待機しましょう。
【あいさつ例文】
「本日はご多用にもかかわらず、ご弔問くださいまして、故人もさぞ喜んでいることと存じます。生前、皆様には大変お世話になり、また親しくしていただきましたこと、感謝の念に耐えません。ここで改めて厚く御礼申し上げます。残された私どもにも、今後とも変わりなくご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。」
喪主の仕事
- 葬儀社と準備を進め、世話役に指示を出す。(世話役の方には、心付けを渡します。)
- 喪服に着替えて、15分前には会場で待機。
- 通夜振る舞い。
- 通夜の後、葬式・告別式の打ち合わせを行なう。
- 弔辞を依頼する。
7.葬儀/告別式
故人と、この世に生きている人がお別れをするための儀式です。遺族代表の挨拶では、通夜同様に参列者へのお礼を述べ、故人の人柄や業績、生前のエピソードなどを話します。火葬場へ移動する際、喪主は位牌を持ち、遺影は子どもなど遺族が持ちます。
喪主の仕事
- 住職や弔問客を迎える。
- 葬送儀礼(読経、授戒)。
- 式辞、弔辞、弔電紹介。
- 焼香(順番は喪主、遺族、親族、弔問客)。
- 喪主または遺族代表の挨拶。
- 出棺。
8.火葬
納めの式といって、火葬前に故人と最後の対面をします。住職の読経とともに、喪主から順に焼香を行なった後、火炉に点火します。火葬が終わるのを待ち、遺骨を骨壺に納める拾骨(骨あげ)を行ないます。2人1組で骨を箸で拾うのは、故人をこの世からあの世に「橋渡し」するためです。
喪主の仕事
- 納めの式で、故人と最後の対面。
- 火葬中は、控え室で待機。
- 喪主から故人と血縁の近い順に拾骨(骨あげ)。
- 火葬証明書は大切に保管。
9.還骨法要
骨壺に納めた遺骨と位牌、遺影は納骨までの間、後飾りの祭壇に安置します。近ごろは遠方の親族に配慮して、火葬の後に引き続き納骨、初七日の法要を行なうケースが増えています。精進落としの席を設け、親族・関係者にお礼を述べるとともに、四十九日法要や納骨の日取りを相談します。
喪主の仕事
- 遺骨を後飾りに安置。
- 還骨回向の法要。
- 精進落としの会食。
10.葬儀後
初七日までに、お世話になった方々へあいさつまわりを行ないます。また、葬儀社への支払い、生命保険、遺族年金の請求、確定申告などの手続きも忘れずに行ないましょう。葬儀当日に香典返しを行なっていなければ、四十九日の忌明け後に会葬者に礼状とともに送ります。
喪主の仕事
- 関係者へのあいさつまわり。
- 葬儀社へ費用の支払い。
- 各種保険、年金、税金等の諸手続き。